貿易黒字の為替レートへの影響
日本の国際収支の特徴は、貿易黒字が大きいことですが、この貿易黒字の状態が続くことは、日本の為替レートにも影響を及ぼします。
というのは、特定の国に対する貿易収支が一方的に大きくなると、経済摩擦に発展しかねないからです。
1970年代後半から1980年代にかけて、日米間で大きな問題になった日本製品のダンピング輸出問題はその典型的な例です。
当初、アメリカに対する安価な繊維製品の輸出が取り上げられ、やがて電気製品や自動車にまで拡大していきましたが、最終的には、ドルに対する円の切り上げ要求によって、その後は円高になっていったのです。
貿易収支の利益はどこに計上されるのですか?
貿易黒字が大きいということは、どこかがその利益の恩恵を受けているわけですが、では、貿易収支の利益はどこに計上されるのでしょうか?
貿易収支の利益というのは、当然それぞれの企業の営業利益として損益計算書に計上されます。
わかりやすくいうと、すべての輸出企業の営業利益から、国内販売で得た営業収益を差し引けば、貿易収支とほぼ合致するということです。
近年、多くの企業がコスト削減のために工場を中国や東南アジアに移転し、現地から日本を含む消費国に直接輸出するようになってきました。
この場合、現地法人化された工場が営業利益を得るわけですが、この利益は、日本の親会社が連結ベースで利益計上したり、配当金として受け取ることになります。
どちらにしても、日本の貿易収支には含まれませんが、企業収益としては計上されることになるのです。 |