金ETFが機関投資家の金市場参入のきっかけに
欧米の年金基金というのは、ヘッジファンドに代表される投機マネーとは一線を画す金(ゴールド)の買い手として存在感を示してきました。
具体的には、株や債券、為替などの伝統的投資手法だけではリスク分散に限界があると感じて、「金」への分散投資に注目してきたのです。
しかしながら、実際問題として、「金」の実物を大量に購入しても保管に困るということ、先物ではリスクが高すぎるということがありました。「金ETF」という新たな金融商品が、これらの受け皿となったのです。
機関投資家のマネーが金市場に流入
2004年、「金ETF」がニューヨーク上場を果たし、世界中の証券取引所で扱われるようになると、年金などを運用する国内外の機関投資家のマネーが金市場に流入し始めました。
「金」の市場規模というのは、株や債券の10分の1以下ですから、この新たな年金基金参入は、金価格をかつての業界の常識では考えられなかった水準にまで押し上げることになりました。
なお、オイルマネーも含めた機関投資家の金市場参入については、リスク分散のための投資媒体としての「金」の機能に着目したものなので、相場水準にかかわらず、今後も粛々と進行していくものと思われます。
金ETF出現後はかつての経験則が当てはまらなくなったとは?
金ETFが出現してからは、金価格については過去の経験則が当てはまらなくなったといわれています。これは、具体的には、価格動向の予測に当たり下値を低く見すぎる傾向にあるということです。
つまり、これまでであれば、かなり調整売りが入り、相当下落しても当然と思われる局面においても、金ETFが下支えするために下げ渋ることが増えてきたのです。これが金価格の下値を見誤ってしまう要因です。 |